Nice Disc: The Last Hot Bloodをなぜ作ったのか

2023年 10月 30日 Nice Discのバトルフィールド

2023年5月にNice Discというゲームをリリースしました。フライングディスクを拾って走り回り相手をKOするという新しいスポーツを作り、それをビデオゲームにしました。ゲームをプレイされた方は、4人プレイも可能であることからパーティーゲームとして認識されているかと思います。私もそのつもりで作りました。戦略を練ったり、心理戦に持ち込んだりする余地をゲームに組み込んでいるのですが、ただワチャワチャな感じを楽しんでいただくこともできるかと思います。

内容としては感情を揺さぶるようなストーリーや、何か作者からのメッセージなどはこのゲームからは読み取ることはきっとできないと思います。でも、製作者としてこのゲームを作った理由は明確に存在するし、それはきっとメッセージといっていいのかもしれません。ゲームでは語っていないことをここに記録します。

Nice Discは、最初はゲームジャムで作成したゲームが始まりです。Unity1Weekで『回』というテーマで作成したものです。Discを回転させて相手にぶつけ、落ちたものを拾って投げる簡易型ドッジボールとして作りました。イメージしたのはポカポンゲーム(ハンマーでたたきあうオモチャ)で、ちょっとしたタイミングとイラっとする感じ、手ごろな二人対戦、ちょっと不愉快な操作感を再現しています。

Nice Disc クラシック

出来上がってみると、シンプルなBotが適切に難易度をあげ、実際に友達と遊んでいるような感覚を生みました。それが楽しいかどうか、ゲームとしてよくできているかはどうでもよくて、子供の頃に一緒に遊んだ友人がそこにいたような感覚に襲われました。そのことは私の感情を激しく揺らしました。このシンプルで不完全なゲームは、ゲームジャムで決して高い評価を得たものではありません。それでも私のゲーム作りの方向を決定づける大きな出来事でした。

そもそも、手元に何もない淋しさがゲーム作りを始めた理由であるし、パンデミックの最中であり誰かとつながることを求めていたのだと思います。だから、一人でプレイしても誰かとつながるような疑似的な感覚のあるゲーム、実際に大事な友達とつながれるようなゲームをこれから作るんだと思えたことは自然なことだったのかもしれません。 チームバトル

昔からそういったゲームはたくさんありました。決して不人気なジャンルではないです。ただ自分の角度からパーティーゲームを意識し、自分の色で塗りつぶした対戦ゲームを作る必要がありました。1回対戦したくらいで把握できるルール、中級レベルまでの成長に時間がかからないバランス、ちょっとだけ強いBot、無駄にボタンを押したくなる操作感などのすべてを盛り込んだゲームを目指しました。

きっかけをくれたNice Discというゲームジャムの提出物をそのままのタイトルで少しだけ規模を大きくして作ることにしました。

オンラインではない対戦ゲームは、友人との対戦が基本になります。対戦ゲームを通して私は子供の頃、たくさんの友人とつながりました。そしてたくさんの友人と喧嘩をしました。喧嘩をした数だけ仲直りをしました(本当は仲直りの数の方が少しだけ少ない)。

このゲームは、単純にパーティーを楽しむように作ってはいます。ただ、ディスクを一枚だけしか持てないというルールとそのスピード感のせいで、上級者同士の戦いになると心理戦に発展します。ディスクを持っているとき、相手だけがディスクを持っているときのプレッシャーの掛け合い、位置取りや挑発などが発生するようにできており、そういう時はプレイ中の言葉でもプレッシャーの掛け合いを楽しんでもらいたいです。きっと友人と喧嘩の原因となり、仲直りの原因にもなるゲームになっていると思います。