Nice Discのストーリーとキャラクター

2023年 10月 31日 ダッカニングという現象

Nice Disc: The Last Hot Bloodについての投稿第二弾です。思い入れが強く、書きたいことがまだたくさんあるのですが、今回はストーリーとキャラクターについてです。

ストーリーといっても、アヒルの青年がチャンピオンを目指すというシンプルなものであり、ゲームを続けるモチベーションを維持するためのものとして用意しているので、そこまで深いものではありません。しかし、そのストーリーに至る前の設定にはちょっとした実用的な意味があります。

この世界は、世界の人口の20%がアヒルに変わってしまうという『ダッカニング』の発生後という設定です。そもそもなぜダッカニングという設定にしたのかというと、どうしてもアヒルをゲームに出したかった、そしてアヒルが通常の人間として扱われる世界にしたかったというだけです。

アヒルのキャラクタは、私がキャラクタの動きをテストするプロジェクトに使用しています。アヒルにしている理由は、以下3点です。

  • クチバシのおかげでプレイヤーがどっちを向いているかわかりやすい。
  • フワフワの羽毛が当たり判定をあいまいにすることを許容する。
  • 縦横比が1:1に近いデザインにしやすく、ジャンプの感覚をテストしやすい。

こんな感じの子でテストしています。

ジャンプテスト用アヒル

新しいゲームを作ったり、新しい動作を試したいときには、この子を四角いスクリーンの中に閉じ込めてジャンプさせまくります。Nice Discを本格的に作ろうとするときにはもちろんこの子に活躍してもらい、ゲーム内のジャンプの高さ、スピード(上昇、落下、走行、ジャンプ中の横移動)、感性の残り方、加速の仕方、ダブルジャンプの感触を決定しました。

本製作のゲームに移行するときにおいても思い入れが強くなり、清書することで登場してもらうことにしました。

それがこんな感じ。

NiceDisc本番用アヒル

アヒルの登場は決定しているのですが、舞台は現代プロスポーツであり、私たちにとってリアルである必要あり、どうすればアヒルが存在しても違和感のない感じにできるか悩みました。

そんな時、パートナーのレンコンさんが『Shadowrun』の設定である『10%の人間がゴブリン化』という現象を利用してアヒルにしちゃえ、とアイデアをくれたのでちょっとだけ数字を調整して採用することにしました。

その後のストーリー展開はとてもシンプル。一応、縄張り意識の強い地元のライバル、排他的なイベントオーガナイザー、強引なスポンサー企業、未知なる近代技術を駆使した敵(要は金持ち)などスポーツものでよく出るタイプのライバルを用意しました。でも、チャンピオンへまっすぐ進むこのアヒルさんには全部雑音なんでしょう。このアヒルの熱い血はストーリーをよりシンプルにしてしまいました。

ゲームとしてこのストーリーでよかったのかどうかわかりません。ただ、このゲームに熱い血を注いだ私のリアルタイムの感情がこれなんです。だから私としてはこれでよかったのです。